足裏脂肪移植のリスク・副作用と、起こりうる合併症
治療のメリットだけを見て決めていただきたくないと考えています。足裏脂肪移植は手術であり、体に対する侵襲を伴う医療行為です。
この記事では、起こりうるリスク・副作用を採取部位と移植部位に分けて整理し、あわせてそれを減らすために何をしているかをご説明します。
リスクの全体像
| 部位 | 起こりうること | 頻度・性質 |
|---|---|---|
| 採取部位(お腹・太もも) | 内出血、筋肉痛のような痛み、腫れ、皮膚の凹凸、色素沈着 | 一時的なものが多い |
| 移植部位(足裏) | 生着不全 | 術後の過ごし方に大きく左右される |
| 移植部位(足裏) | 石灰化、感染、血腫、左右差、シスト(しこり)の形成 | まれ |
| 移植部位(足裏) | 腫れ・痛み・内出血 | 少なくとも術後1週間は痛みが続く |
脂肪を採取する部位(お腹・太もも)のリスク
脂肪は、腹部や大腿部など脂肪が豊富な部位から専用のカニューレで吸引します。この部位には次のような症状が生じる場合があります。
- 内出血
- 筋肉痛のような痛み
- 腫れ
- 皮膚の凹凸
- 色素沈着
これらを抑えるため、術後2週間はガードルやサポーターによる圧迫固定を行っていただきます。採取部の抜糸は術後1週間ごろです。
移植する部位(足裏)のリスク
生着不全
最も注意していただきたいのがこれです。
移植した脂肪が定着せず吸収されてしまい、十分な効果が得られない可能性があります。原因として大きいのが、術後の免荷が守られなかった場合です。
移植した脂肪が血管とつながって定着するまでの間に、体重による圧力が繰り返しかかると、脂肪は潰れて生着できません。だからこそ術後4週間、移植部位を浮かせるフェルトと専用サンダルでの生活をお願いしています。詳しくは「術後4週間の免荷期間」をご覧ください。
術後の痛み
足裏へはさまざまな方向から脂肪を注入するため、少なくとも術後1週間は足底の痛みが続きます。鎮痛薬を内服し、安静・挙上・冷却で対応していただきます。麻酔は術後5〜6時間ほどで切れてきますので、切れないうちに一度目の鎮痛薬を内服していただきます。
その他のリスク
- 石灰化
- 感染
- 血腫
- 左右差
- シスト(しこり)の形成
- 術後の一時的な腫れ・内出血
受診が必要なサイン
次のような場合は、予定の再診を待たずにご連絡ください。
- 日を追うごとに痛みが強くなる
- 発赤・熱感・強い腫れを伴う
- 発熱がある
- 移植部位から浸出液が出る
リスクを減らすために行っていること
超音波(エコー)ガイド下での注入
脂肪を注入する際、当院では必ず超音波診断装置を使用します。
足裏には神経や血管が走行しています。画像で確認しながら、それらを避けつつ、脂肪が萎縮している適切な層(皮下)に細かく層状に注入します。これにより、神経損傷のリスクを回避しながら、生着率を高め、凹凸のない仕上がりを目指します。
遠心分離による脂肪の精製
採取した脂肪はそのまま入れるのではなく、遠心分離にかけて水分・不純物・遊離した油分を除去し、健全な脂肪細胞のみを高純度に濃縮します。移植に適した状態に整えることで、生着不全のリスクを下げます。
事前の画像診断
カウンセリングでは、レントゲンに加えて超音波診断装置で現在の脂肪の厚みや足底腱膜の状態を確認し、適応を判断します。必要に応じて提携医療機関でMRI撮影を行い、より精密に評価する場合もあります。
適応でない方に無理に行わないことも、リスク管理の一部です。
全身状態の確認
術前には、足の血流検査と血液検査を行います。あわせて、次のような場合は適応の判断をとくに慎重に行いますので、該当する方は初診時にお知らせください。
- 糖尿病がある(血糖のコントロール状況と血流の評価が必要です)
- 免疫抑制薬やステロイドを使用している
- 血液をサラサラにする薬を服用している
- 末梢の血流障害がある
- 妊娠中・授乳中である
すべての方に適応となる治療ではありません。
免荷期間が取れない場合は、無理に選ばないでください
4週間の免荷が生活上どうしても難しい場合、生着不全のリスクは高まります。その場合は、ダウンタイムのほぼない他の選択肢をご検討いただくほうが現実的です。
- 足裏クッション注射:注入直後から歩行可能で、免荷期間は不要
- 足底ヒアルロン酸注射:注入のみで完結し、日常生活への影響が比較的少ない
- PRP療法:ご自身の血液から作製するため低リスクで、施術当日から歩行可能
「4週間の免荷が取れないから脂肪移植は難しい」という判断は、決して後ろ向きな選択ではありません。
自由診療であることについて
足裏脂肪移植は自由診療(保険適用外)です。料金は次のとおりです(すべて税込)。
| 項目 | 料金(税込) |
|---|---|
| 両側 足裏脂肪移植(術後用オーダーインソール作成費用を含む) | 880,000円 |
| 片側 足裏脂肪移植(術後用オーダーインソール作成費用を含む) | 660,000円 |
| オプション:静脈麻酔 | 110,000円 |
| 初診料 | 5,500円 |
| 再診料 | 2,200円 |
| カウンセリング料(術前エコー検査を含む) | 13,200円 |
| 術前検査(足の血流検査・術前血液検査) | 13,200円 |
| 術後用物品セット | 15,000円 |
| 術後消毒セット | 1,500円 |
| 抜糸処置 | 5,500円 |
術後診察は1か月後・3か月後・6か月後・12か月後の計4回で、それぞれ再診料がかかります。総額の目安は「足裏脂肪移植の費用」に掲載しています。
費用とリスクの両方をご理解いただいたうえでご判断いただきたいと考えています。ご不明な点は、カウンセリングの段階で遠慮なくお尋ねください。その場でお決めいただく必要はありません。
使用する医薬品・医療機器について
足裏脂肪移植は、患者様ご自身の脂肪組織を用いる治療であり、医薬品や医療機器を体内に留置するものではありません。
一方、代替として挙げた足裏クッション注射(Sculptra®/ポリ-L-乳酸製剤)と足底ヒアルロン酸注射(Neuramis®/架橋ヒアルロン酸製剤)に用いる製剤は、いずれも国内で薬事承認を受けていない未承認医薬品・未承認医療機器であり、医師個人の責任のもとで輸入したものを使用しています。同一の効能・効果で国内承認を受けた医薬品はなく、国内で承認されているヒアルロン酸注入剤も足底部への使用について承認を受けたものではありません。諸外国における承認状況・安全性情報を含む四項目の詳細は「足裏脂肪移植の費用」ページに記載しています。
これらは医師の判断と責任のもとで行う自由診療であり、国内の医薬品副作用被害救済制度・医療機器等副作用被害救済制度の対象外となります。
生着不全が起きた場合について
移植した脂肪が十分に定着しなかった場合、どうするかは状態によります。
経過を見て追加の処置を検討することもあれば、免荷の要らない他の方法に切り替えることもあります。いずれの場合も、まず何が起きたのかをエコーで確認したうえでご相談します。
追加処置が必要になった場合の費用の考え方についても、治療をお決めいただく前にご説明します。あとから条件が変わることのないようにしています。
他院で受けた治療との関係
過去にステロイド注射や手術を受けている場合、その影響が現在の足裏の状態に残っていることがあります。
とくにステロイド注射を繰り返した部位は、局所的に脂肪が萎縮していることがあります。これは適応の判断にも、注入の設計にも関わる情報です。
治療歴は、覚えている範囲で構いませんのでお聞かせください。お薬手帳や紹介状があれば、より正確に把握できます。
リスクの話は、適応の話でもあります
リスクを下げる最も確実な方法は、適応のある方だけが受けることです。
そのため当院では、治療の説明より先に、原因の確認に時間をかけます。レントゲンに加えて超音波(エコー)で足裏の脂肪の厚みや腱・筋膜の状態を確認し、画像をご覧いただきながら適応をご説明します。
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当院について
監修:菊池 守(リカルナクリニック)