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足の健康コラム

足裏の痛みの治療、どれを選ぶ?脂肪移植・クッション注射・ヒアルロン酸・PRPの違い

足裏の痛みに対する治療にはいくつかの選択肢があります。どれが優れているという話ではなく、それぞれ性質が違うため、何を優先するかで答えが変わります。

ここでは、当院で行っている4つの治療を、費用・効果の持続・ダウンタイムという判断しやすい軸で並べて整理します。

4つの治療の比較

足裏脂肪移植 足裏クッション注射 足底ヒアルロン酸注射 PRP療法
何を入れるか ご自身の脂肪組織 コラーゲン生成刺激製剤 ヒアルロン酸 ご自身の血液から作製した多血小板血漿
主な目的 クッションの再生 クッションの再生 クッションの補充 慢性の痛みへのアプローチ
効果の持続 生着すれば長期にわたる効果が期待できる 徐々に現れ、比較的長期の変化が期待できる 約9〜12ヶ月程度 中長期的な改善が期待される
ダウンタイム 約4週間の免荷 免荷期間は不要・直後から歩行可 ほぼなし ほぼなし・当日歩行可
料金(税込) 両側880,000円/片側660,000円 220,000円 66,000円〜 132,000円/1回・3回コース330,000円
費用の考え方 初期費用が大きく、追加が生じにくい 中程度 繰り返しを前提に考える 中程度

※ 効果の発現時期・持続期間にはいずれも個人差があります。別途、初診料5,500円・再診料2,200円・カウンセリング料13,200円(術前エコー検査を含む)がかかります。足裏脂肪移植の料金には術後用オーダーインソールの作成費用が含まれます。脂肪移植の場合はさらに術前検査13,200円・術後用物品セット15,000円・術後消毒セット1,500円・抜糸処置5,500円が必要です。

それぞれの特徴

足裏脂肪移植

お腹や太ももから採取したご自身の脂肪を、遠心分離で精製したうえで、エコーガイド下に足裏へ移植してクッションを再建する治療です。施術時間は約3時間。自分の組織を移植するため異物反応がなく、生着すれば長期にわたる効果が期待できます。移植された脂肪に含まれる細胞成分の働きにより、皮膚の質やコラーゲン量にも変化が生じうると考えられています。

一方で、術後に約4週間の免荷期間が必要で、費用も高額です。術後5週目以降、フェルトを外して術後用インソールでの全荷重歩行を開始します。

向いている方:足裏のクッションがはっきり薄くなっており、4週間の免荷期間を確保できる方

足裏クッション注射

足裏のクッションが薄くなったことによる痛みに対し、注射で補う治療です。注入直後から歩行可能で、免荷期間は不要です。注入した製剤がそのままクッションになるのではなく、ご自身のコラーゲン生成を促す足場として働くため、効果は徐々に現れます。

向いている方:脂肪移植に関心はあるが4週間のダウンタイムが取れない方、足の老化を感じ始めたばかりの方

足底ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸を注入してクッション性を補います。麻酔薬を含む製剤を用いるため注入時の痛みは抑えられ、日常生活への影響も比較的少ない方法です。効果は約9〜12ヶ月程度持続します(個人差があります)。維持するには繰り返しの注入が必要です。

向いている方:まず負担の少ない方法から試したい方、特定の予定に合わせて対処したい方

PRP療法(多血小板血漿療法)

ご自身の血液から抽出した多血小板血漿を、痛みのある部位に注入します。足底腱膜炎など、保存療法を続けても改善しにくい慢性の痛みに対して行っています。ご自身の血液を用いるため反復による負担が少なく、施術当日から歩行可能です。

超音波ガイド下で腱膜の病変が強い部分に的確に注入します。所要時間も短く、注入後はそのままご帰宅いただけます。

向いている方:慢性化した足底腱膜炎の方、4週間の免荷期間が取れない方、ご自身の血液を使う治療を希望される方

ステロイド注射との違いについての報告

慢性の足底腱膜炎に対して、PRP注射とステロイド注射を比較したランダム化比較試験が報告されています(Sawan ら/Egypt J Anaesth, 2023)。

痛み(VAS)と機能評価(AOFAS)、さらに超音波での腱膜の厚み・エコー輝度のいずれについても、両群とも注射後に有意な改善がみられました。ただし、改善の現れ方が異なっていたと報告されています。

ステロイド注射 PRP注射
改善が現れる時期 注射後3週と早い 注射後12週
改善の持続 短期間 試験終了まで持続

著者らは、慢性足底腱膜炎の治療において、PRP注射のほうがより安全で、鎮痛効果と機能予後の点で優れていたと結論づけています。

「早く効くほうがよい」とは限りません。ステロイド注射は効果の立ち上がりが早い一方で長続きしません。さらに、繰り返すと局所の脂肪が萎縮するという問題があります。これは踵部脂肪褥症候群の危険因子のひとつです。PRPは効果が出るまで時間がかかりますが、その後の持続が期待できます。

選ぶときの考え方

ダウンタイムが確保できるかどうかが、最初の分岐点です

4週間の免荷を確保できるかどうかで、選択肢は大きく分かれます。確保できない状況で脂肪移植を選ぶと、生着不全のリスクが高まり、結果的に費用が無駄になりかねません。

まずお仕事や生活の状況から考えていただくのが現実的です。詳しくは「術後4週間の免荷期間」をご覧ください。

費用は「1回いくら」ではなく「何年でいくら」で

ヒアルロン酸のように9〜12ヶ月ごとに繰り返す治療は、1回あたりの費用は抑えられますが、続ける前提で総額を考える必要があります。脂肪移植は初期費用が大きい代わりに、追加が生じにくい構造です。

どちらが良いかは、何年単位で考えるかによって変わります。費用の考え方もあわせてご覧ください。

痛みの原因によって適する治療が違います

足底腱膜炎が主因ならPRP療法、脂肪パッドの萎縮が主因なら脂肪移植やクッション注射、というように、原因によって向く治療は異なります。

当院では超音波検査で腱膜や脂肪の状態を評価したうえで判断します。PRP療法の適応も、超音波検査による腱膜の状態評価とこれまでの治療経過をもとに医師が判断します。すべての方に適応となるわけではありません。

併用や、順番を変えることもあります

4つのうちどれか一つを選ばなければならない、というものではありません。まずインソールと歩行指導で経過を見てから注入を検討する、といった進め方もあります。順番と組み合わせも含めてご提案します。

リスク・副作用について

  • 足裏脂肪移植:採取部位の内出血・筋肉痛のような痛み・腫れ・皮膚の凹凸・色素沈着、移植部位の生着不全・石灰化・感染・血腫・左右差・シスト形成など。少なくとも術後1週間は足底の痛みが続きます
  • 注入治療(クッション注射・ヒアルロン酸・PRP):注入部位の一時的な腫れ・内出血・痛み、まれに感染やアレルギー反応、仕上がりの個人差・左右差など

これらの治療はいずれも自由診療(保険適用外)です。費用・リスク・副作用については、カウンセリング時に詳しくご説明します。

使用する医薬品・医療機器について

足裏脂肪移植とPRP療法は、いずれも患者様ご自身の組織(脂肪・血液)を用いる治療です。体内に医薬品や医療機器を留置するものではありません。

一方、注入に用いる2つの製剤については注意が必要です。

足裏クッション注射(Sculptra®/ポリ-L-乳酸製剤)と足底ヒアルロン酸注射(Neuramis®/架橋ヒアルロン酸製剤)に用いる製剤は、いずれも国内で薬事承認を受けていない未承認医薬品・未承認医療機器であり、医師個人の責任のもとで輸入したものを使用しています。同一の効能・効果で国内承認を受けた医薬品はなく、国内で承認されているヒアルロン酸注入剤も足底部への使用について承認を受けたものではありません。諸外国における承認状況・安全性情報を含む四項目の詳細は「足裏脂肪移植の費用」ページに記載しています。これらは医師の判断と責任のもとで行う自由診療であり、国内の医薬品副作用被害救済制度・医療機器等副作用被害救済制度の対象外となります。

選択肢を絞り込む前に

4つの違いを読み比べても、ご自身にどれが合うかは判断しきれないと思います。それは当然で、判断に必要な情報がまだ揃っていないからです。

足裏の脂肪がどれだけ残っているか、腱膜が厚くなっていないか——この2つがわかると、選択肢は自然に絞られます。

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当院について

参考文献

Sawan ZH, El-Tohamy SA, Elhossieny KM, Basha OHA, Hafez AS. Analgesic efficacy and functional outcome in refractory cases of plantar fasciitis treated with platelet-rich plasma: randomized comparative study with corticosteroids injection. Egypt J Anaesth. 2023;39(1):477-487.

監修:菊池 守(リカルナクリニック)