COLUMN

足の健康コラム

朝起きた時の一歩目が痛い…それは足底腱膜炎のサインかもしれません

足底腱膜炎とは——朝の一歩目が痛む理由

朝、ベッドから降りた瞬間にかかとや足裏に走る鋭い痛み。「まだ何もしていないのに、なぜこんなに痛いの?」と不安に思ったことはありませんか。この症状は「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」の典型的なサインです。

足底腱膜とは、かかとの骨から足指の付け根にかけて扇状に広がる厚い膜状の組織です。歩行時に足裏のアーチを支え、地面からの衝撃を吸収するバネのような役割を担っています。

組織が温まり、を削除しました。

ピッツバーグ大学のGusenoff BRらが2022年にPlastic and Reconstructive Surgery誌に報告したランダム化比較試験(RCT)によると、慢性化した足底腱膜炎では腱膜の厚さが4mm以上に肥厚していることが確認されています。正常な腱膜の厚さは約2〜4mmとされており、4mmを超える肥厚は組織の変性が進んでいることを示しています。

見逃しやすい根本原因——足裏の「脂肪クッション」の減少

足底腱膜炎と診断された方の中には、実はもう一つの重要な原因が隠れている場合があります。それが、足裏の「脂肪パッド(脂肪体)」の萎縮です。

ピッツバーグ大学のMinteerらが2018年にPlastic and Reconstructive Surgery誌に発表した2年間の前向きランダム化クロスオーバー臨床試験では、60歳以上の方の約30%に足裏の脂肪パッド萎縮が認められたと報告されています。足裏の脂肪パッドは、歩行時の衝撃を吸収する天然のクッションです。この脂肪が減少すると、足底腱膜に過度な負荷がかかり、炎症や痛みを引き起こしやすくなります。

トルコのBelhanらが2019年にActa Orthopaedica et Traumatologica Turcica誌に発表した超音波を用いた研究では、足底腱膜炎の患者さんにおける踵部脂肪パッドの厚さと腱膜炎との関連が調査されました。この研究は、脂肪パッドの萎縮が腱膜炎の発症や持続に関与している可能性を示唆しています。

さらに、デンマーク・オールボー大学のChangらが2022年にJournal of Foot and Ankle Research誌に発表したスコーピングレビューでは、踵部脂肪パッド症候群(HFPS)が足底踵部痛の約15%を占める重要な疾患であることが報告されています。しかし、この疾患は足底腱膜炎と症状が類似しているため見落とされやすく、適切な診断と治療につながっていないケースが少なくありません。

あなたは大丈夫?足底腱膜炎セルフチェック

以下の4つの項目に当てはまるかどうか、チェックしてみてください。

1. 朝起きた時の一歩目にかかとや足裏が痛む

2. 長時間座った後に立ち上がると痛みを感じる

3. 長時間の歩行や立ち仕事の後に痛みが強くなる

4. 裸足で硬い床を歩くと足裏が痛い

2つ以上当てはまる方は、足底腱膜炎の可能性があります。特に痛みが数週間以上続いている場合は、早めに足の専門医を受診されることをおすすめします。痛みをかばって歩くうちに膝や腰にも負担がかかり、別の痛みにつながることもあるからです。

治療アプローチ——再生医療という選択肢

足底腱膜炎の治療は、まずインソールやストレッチなどの保存療法から始まります。しかし、こうした治療で改善しない場合、近年注目されている再生医療のアプローチがあります。

PRP(多血小板血漿)療法

エジプトのSawanらが2023年にEgyptian Journal of Anaesthesia誌に発表したRCT(対象60名)では、難治性足底腱膜炎に対してPRP療法とステロイド注射を比較しました。その結果、VAS(痛みのスコア)およびFFI(足機能指標)のいずれにおいても、PRP群がステロイド群よりも有意に優れた結果を示しました。ステロイド注射が炎症を一時的に抑える対症療法であるのに対し、PRP療法は血小板に含まれる成長因子によって損傷した組織の修復を促進する点に違いがあります。

脂肪注入療法

ピッツバーグ大学のGusenoff BRらが2022年に報告したRCTでは、慢性足底腱膜炎の患者さんに対して穿通脂肪注入(平均2.6ml)を行い、腱膜の厚さが有意に減少(p<0.05)し、痛みの改善が12ヶ月間持続(p<0.01)したことが確認されました。日常活動やスポーツ活動の両面で改善が見られ、慢性化した腱膜炎に対する新たな治療選択肢として期待されています。

まとめ

足底腱膜炎は「そのうち治るだろう」と放置してしまいがちな疾患ですが、慢性化すると腱膜の組織変性が進み、回復に時間がかかるようになります。また、足裏の脂肪パッドの減少が根本原因に関わっているケースでは、表面的な対症療法だけでは十分な改善が得られないこともあります。

朝の一歩目の痛みが気になる方は、「歳のせいだから」と諦めず、まずは正確な診断を受けることが大切です。足の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度RiCarna Clinic(リカルナクリニック)にご相談ください。超音波検査による腱膜や脂肪パッドの状態評価を含め、お一人おひとりに合った治療プランをご提案いたします。

※本コラムは一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある方は必ず医師にご相談ください。