足の専門医(ポダイアトリスト)とは?欧米では当たり前の足病診療
欧米の足病医学——歯医者と同じくらい身近な存在
「足が痛いけど、何科に行けばいいのかわからない」——そんな経験はありませんか。日本では足の痛みで整形外科や皮膚科を受診する方が多いですが、欧米では事情が異なります。
アメリカには「ポダイアトリスト(Podiatrist)」と呼ばれる足病医の制度があります。DPM(Doctor of Podiatric Medicine)という専門の医学博士号を持つ足の専門医で、全米に約18,000人が活動しています。アメリカでは歯医者に行くのと同じ感覚で、足の問題はポダイアトリストに相談するのが一般的です。
足病医学の研究でも、アメリカの大学が世界をリードしています。特にピッツバーグ大学のGusenoffチームは、足裏の脂肪パッド萎縮に対する脂肪移植の一連のランダム化比較試験(RCT)を実施し、この分野の科学的エビデンスの構築に大きく貢献してきました。2016年の前向きRCT(Gusenoff JAら、Plastic and Reconstructive Surgery誌)から、2018年の2年間クロスオーバーRCT(Minteerら、同誌)、2019年の皮膚質に関するRCT(Gusenoff JAら、Aesthetic Surgery Journal誌)、2019年のMRI体積解析(Ruaneら、同誌)、そして2022年の慢性足底腱膜炎に対するRCT(Gusenoff BRら、同誌)まで、系統的な研究が行われています。
日本の足病医療の現状と課題
日本には、アメリカのDPMに相当する公的な足病医の資格制度が存在しません。そのため、足の痛みを感じた方は、整形外科、形成外科、皮膚科、血管外科など、さまざまな診療科を受診することになります。しかし、足の問題は複合的であることが多く、一つの診療科だけでは十分に対応できないケースも少なくありません。
こうした日本の足病医療の課題に取り組んできたのが、RiCarna Clinic院長の菊池守医師です。菊池医師は大阪大学医学部を卒業後、米国ジョージタウン大学創傷治療センターに留学し、足病医療の先進的な知見を学びました。帰国後は佐賀大学形成外科で診療准教授を務め、その後、足の総合病院として知られる下北沢病院の院長を歴任しました。
また、菊池医師は一般社団法人「足の番人」の初代理事長として、日本における足病医療の啓発活動にも取り組んでいます。著書「足の専門医が教える100歳までスタスタ歩ける足のつくり方」や「1日3000歩 すごい足踏み」(アスコム)を通じて、一般の方にも足の健康の重要性を広く伝えています。現在は民間の介護事業者、セラピスト、シューフィッター、整骨院などと医療を連携し、足のトラブルを抱えた人が足の専門家へスムーズにつながることができる「足の番人マップ」を作成するためにクラウドファンディングも開催中です。(https://readyfor.jp/projects/footproject 2026年4月30日まで)
なぜ足の「総合診療」が重要なのか——研究が示すエビデンス
足の問題が複合的であることは、研究データからも明らかです。
ピッツバーグ大学のBaronらが2020年にAesthetic Surgery Journal Open Forum誌に発表した研究では、足裏脂肪パッド萎縮の患者さんの73%に足の変形や手術の既往があり、43%にたこが認められました。つまり、脂肪パッドの萎縮は単独で存在するのではなく、さまざまな足の問題と複合的に関連しているのです。
また、南カリフォルニア大学のKressらが2023年にPlastic and Reconstructive Surgery Global Open誌に発表した症例シリーズでは、足の潰瘍予防における学際的(多職種連携による)アプローチの重要性が強調されています。形成外科医、足病医、義肢装具士、理学療法士など、複数の専門職が連携することで、包括的な治療が可能になります。
足の総合診療を受けるには
足の痛みや変形で悩んでいる方は、一つの診療科にこだわらず、足の問題を総合的に診療できる医療機関を受診することをおすすめします。
理想的な足の総合診療では、形成外科(脂肪移植や創傷治療)、整形外科(骨・関節の問題)、血管外科(血流の問題)の専門医が連携し、さらに義肢装具士(インソールや装具の作製)、理学療法士(リハビリテーション)、シューフィッター(適切な靴の選定)などの専門職がチームとして関わります。
まとめ
欧米では当たり前の足病診療が、日本ではまだ十分に普及していません。しかし、足の問題の多くは複合的であり、総合的なアプローチが重要です。
足の痛みでどの科を受診すべきか迷っている方は、ぜひ一度RiCarna Clinic(リカルナクリニック)にご相談ください。形成外科・整形外科・血管外科の専門医に加え、義肢装具士・理学療法士・シューフィッターが連携する専門チームが、足の問題を総合的に診療いたします。
※本コラムは一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある方は必ず医師にご相談ください。