COLUMN

足の健康コラム

モートン病の原因と対策|足指の付け根のピリピリした痛みを放置しないで

モートン病とは——第3〜4趾間の神経圧迫

足の指の付け根、特に第3趾(中指)と第4趾(薬指)の間にピリピリとした痛みやしびれを感じたことはありませんか。歩行中に小石を踏んでいるような違和感がある方もいます。それは「モートン病」のサインかもしれません。

モートン病は、足の中足骨の間を通る趾間神経が圧迫・刺激されることで生じる神経障害です。正式には「モートン神経腫」とも呼ばれますが、実際には腫瘍ではなく、神経周囲の線維化(神経腫)による肥大です。

第3〜4趾間に好発する理由は、この部位で2本の神経(内側足底神経と外側足底神経)が合流するため、もともと神経が太く、圧迫を受けやすい構造になっているからです。

ハイヒールの着用は、モートン病の重要なリスク因子です。つま先が狭い靴やヒールの高い靴を長期間履くことで、中足骨間が圧迫され、神経への持続的なストレスが加わります。また、加齢に伴う足裏の脂肪パッドの萎縮も、神経への保護が減少し、圧迫が増す要因となります。

見落とされがちな脂肪パッド萎縮との関連

モートン病の痛みの背景に、足裏の脂肪パッド萎縮が関わっていることがあります。

ピッツバーグ大学のGusenoff JAらが2016年にPlastic and Reconstructive Surgery誌に発表したRCTでは、保存療法群(脂肪移植を行わず従来の治療を続けたグループ)において、左足の足底圧が有意に上昇(p=0.011)したことが報告されています。足底圧の上昇は、中足骨間の神経への圧迫を増大させ、モートン病の症状を悪化させる可能性があります。

また、ピッツバーグ大学のBaronらが2020年にAesthetic Surgery Journal Open Forum誌に発表した研究では、足裏脂肪パッド萎縮の患者さんの73%に足の変形や手術の既往があり、43%にたこ(胼胝)が認められたと報告されています。これらの所見は、脂肪パッドの萎縮が足全体の構造や機能に広範な影響を与えていることを示唆しています。

鑑別と診断——超音波+足底圧分析

モートン病の正確な診断には、専門的な検査が重要です。

足の指の間を圧迫した際の痛み(Mulderテスト)は簡便な検査法ですが、確定診断には超音波検査やMRIが有用です。超音波検査では、肥大した神経腫の大きさや位置を非侵襲的に確認できます。

スイス・バーゼル大学のMenzが2015年にGerontology誌に発表したレビューでは、足底圧分析が足の問題の評価に有用である可能性が示されています。歩行時にどの部位に過度な圧力がかかっているかを可視化することで、モートン病の原因となる圧力の偏りを把握し、治療計画に反映することができます。

治療オプション——保存療法から脂肪注入まで

モートン病の治療は、まず保存療法から始めます。

幅の広い靴への変更、中足骨パッド付きインソールの使用、足指のストレッチなどが基本的な対処法です。ハイヒールの使用頻度を減らすことも重要です。これらの保存療法で約80%の方に症状の改善が見られるとされています。

保存療法で十分な改善が得られない場合、ステロイド注射やアルコール注射(神経を化学的に縮小させる方法)が検討されます。ただし、ステロイド注射の反復は脂肪パッドの萎縮を招くリスクがあることに注意が必要です。

脂肪パッドの萎縮がモートン病の症状に関与している場合、脂肪注入によってクッション機能を回復させることで、神経への圧迫を軽減するアプローチも報告されています。手術(神経切除)は保存療法や低侵襲治療で改善しない場合の選択肢ですが、術後のしびれなどの合併症のリスクも考慮する必要があります。

まとめ

モートン病は、足指の付け根のピリピリした痛みやしびれを特徴とする神経障害です。ハイヒールの着用や加齢に伴う脂肪パッドの萎縮が、症状の発症や悪化に関与しています。

足指の付け根の痛みが気になる方は、早めに専門医を受診し、正確な診断を受けることが大切です。足の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度RiCarna Clinic(リカルナクリニック)にご相談ください。超音波検査や足底圧分析を含めた総合的な評価をもとに、適切な治療プランをご提案いたします。

※本コラムは一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある方は必ず医師にご相談ください。