COLUMN

足の健康コラム

関節リウマチと足の変形|足裏脂肪萎縮への再生医療アプローチ

リウマチ・全身性強皮症が足に及ぼす影響

関節リウマチは、免疫の異常により関節に慢性的な炎症が起こる疾患です。手指の関節が注目されがちですが、実は足の関節にも大きな影響を及ぼします。リウマチ患者さんの約90%が足の問題を経験するとされ、外反母趾、足趾の変形、中足骨頭の突出などが生じます。

デンマーク・オールボー大学のChangらが2022年にJournal of Foot and Ankle Research誌に発表したスコーピングレビューでは、関節リウマチが踵部脂肪パッド症候群(HFPS)のリスク因子として挙げられています。リウマチによる炎症は、足裏の脂肪パッドの構造を破壊し、萎縮を加速させます。

全身性強皮症(SSc)もまた、足に深刻な影響を及ぼす自己免疫疾患です。皮膚や内臓の線維化が特徴で、足裏の皮下組織の萎縮により脂肪パッドが失われ、歩行時の痛みを引き起こします。

全身性強皮症への脂肪移植——英国からの報告

英国ロンドンのRoyal Free病院から、全身性強皮症(SSc)の足裏脂肪パッド萎縮に対する脂肪移植の経験がClinical and Experimental Rheumatology誌に報告されています。

この報告では、9名の全身性強皮症患者さん(全員女性、平均年齢60±7.9歳)に対して、合計18回の脂肪移植処置が実施されました。手術手技としてColeman法が採用され、脂肪は主に腹部(89%)または太もも(11%)から採取されました。採取した脂肪は遠心分離(3000rpm、3分間)で処理され、1mlシリンジを用いて中足骨頭部やかかとに注入されました。

1足あたりの平均注入量は4.22±1.93mlで、患者さんは平均2回(範囲1〜3回)の処置を受けました。術後3〜6ヶ月の時点で、患者さんは痛みと歩行機能の全般的な改善を報告しています。

この報告は、全身性強皮症のような自己免疫疾患においても、脂肪移植が足裏の脂肪パッド萎縮に対する有効な治療選択肢となりうることを示しています。

ただし、組織の血流が悪い方も多いので注意が必要です。血流が悪いのに気づかずに不用意に手術操作を加えると、せっかく脂肪移植しても生着しなかったり、逆に血流の低下でキズが出来てしまうこともあり得ます。脂肪移植の術前には必ず血流の評価が重要です。

全身治療+局所治療の併用戦略

リウマチや強皮症などの自己免疫疾患における足の問題には、全身治療と局所治療の併用が重要です。

全身治療としては、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)や生物学的製剤による炎症のコントロールが基本となります。全身の炎症が適切にコントロールされていない状態では、局所治療の効果も十分に発揮されません。

局所治療としては、イタリア・パヴィア大学のNicolettiらが2014年にThe Foot誌に発表した研究で報告されている、脂肪注入(リポフィリング)とカスタムインソールの併用が参考になります。脂肪注入で失われたクッションを内側から再建し、カスタムインソールで足底圧を分散させるこの併用アプローチは、関節変形を伴う足の問題にも応用可能です。

また、ピッツバーグ大学のBaronらが2020年にAesthetic Surgery Journal Open Forum誌に発表した研究では、足の変形や手術歴のある患者さんにおいても脂肪移植の有効性が示されています。

早期介入の重要性

リウマチや強皮症による足の問題は、進行性であることが多いため、早期の介入が重要です。足の痛みを「リウマチだから仕方ない」と諦めてしまうと、歩行機能がさらに低下し、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

定期的な足の評価(超音波検査による脂肪パッドの厚さの計測、足底圧の分析など)を行い、脂肪パッドの萎縮が進行する前に適切な対策を講じることが望ましいですしょう。

まとめ

関節リウマチや全身性強皮症は、足の脂肪パッド萎縮を引き起こし、歩行時の痛みを悪化させる要因となります。全身治療による炎症のコントロールに加えて、脂肪移植やインソールなどの局所治療を併用することで、足の機能改善が期待できます。

リウマチや強皮症で足の痛みにお悩みの方は、ぜひ一度RiCarna Clinic(リカルナクリニック)にご相談ください。専門チームが、全身疾患に伴う足の問題に対して、総合的な治療プランをご提案いたします。

※本コラムは一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある方は必ず医師にご相談ください。